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腰椎手術は成功したが、良くならないのは精神的な問題とされ、真の原因を求めて 遠く県外から受診された高齢女性の一人旅

.19 2017 脊椎疾患 comment(58) trackback(0)

 「坐骨神経痛の原因は椎間孔狭窄症」の診断で、右L5/S1の椎間孔内でL5神経根除圧術とL5/S1のペディクルスクリュー固定術を受けたが、術後症状の改善が得られず、次第に悪化していると訴え、81歳の女性が遠く県外から受診されました。


執刀医から手術は成功しており、痛みが良くならないのは精神的な問題とされ、色々と強い薬を投与され、その副作用にも苦しんでこられた。セカンドオピニオンも必要ないと言われ、無効な治療が続けられてきたと言う。


私の本「腰椎手術はこわくない」を読まれ、何としても真の原因が知りたいと、1年がかりで受診が実現したと言う。精神的なものではない、必ず解き明かされない原因があるはずと、その強い思いが施設住まいの高齢女性を動かしたのである。


私は話を聞きながら、やるせない気持ちになりました。患者さんの症状についての説明を聞きながら、脊柱管狭窄症の症状、それもL4/5の狭窄症と診断できたからです。MRI画像では、診断されなかったL4/5の脊柱管狭窄症の所見が認められました。確かに、脊柱管は全体としては狭くないが椎間関節の変形肥大によって脊柱管外側部が狭くなっており、そこでL5神経根が絞扼されていました。狭窄は最初に症状が発現した右側で強く、左側はそれよりも軽い状態でした。


L5/S1でのL5神経根の除圧と固定術が無効であったのは、真の原因部位が違っていたためです。さらにL5/S1で固定されたために、隣接椎間であるL4/5に負荷が増し、脊柱管絞窄が進行し、症状が悪化したと診断致しました。


患者さんは原因が解明され、執刀医から精神的なものとあしらわれてきた惨めで不安な気持ちから、やっと抜け出せることに安堵された様子でした。そして、当院での手術を予約されていきました。辛い痛みから解放されたくて、高齢にも関わらず大手術を受けることに同意したのに、最後には心の問題とされてしまい、どれほど納得いかなかったことか、胸の痛む事例でした。それにしても私の本を買われ、独学して受診につなげられた知力と行動力に感服しました。なんとしても良くして差し上げなければ、私ども脊椎外科医の存在意義はないでしょう。

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「人生における腰椎変性疾患の始まりから終わりまで」の連載を開始します。

.09 2017 脊椎疾患 comment(2) trackback(0)

私は脊椎外科医として、「腰椎変性疾患の真理と全体像」を知ることに私の全エネルギーを費やしてきたと言っても過言でありません。健康に何不自由なく生活していた人々が「ある時点」から腰や下肢の痛みやしびれに悩まされ始め、生活の質が損なわれていく。「ある時点」とは、それは人によってぎっくり腰であったり、椅子に長くすわっているとじわっと強くなってくる腰痛であったり、歩いていると始まる下肢の突っ張り感や痛み、しびれであったりと様々です。しかし、多くは始めからその人の生活を強く損なうわけではなく、だましだまし付き合える程度のものが多いようです。この時期には、無理をしてでもやるべきことはやっていますので、本人が訴えない限り周囲が気づくことはありません。仮に話したとしても、年齢(とし)の性と一笑されるのが落ちでしょう。それほど、腰椎変性疾患の初期は病気としての特徴や深刻さに欠けるため、ありふれた老いの徴候としてしか受けとめられていないのが普通です。

 

このような腰椎変性疾患を人の成長と老化の全課程の中でどう理解し、どう対処すべきかは長く私が抱いてきた脊椎外科医としての研究テーマです。これまで、私は小学生の子供から90歳を越える超高齢者まで、多数の腰椎変性疾患の治療を経験し、「腰椎変性疾患の真理と人生を通した全体像」を見てきました。次回から、その結果を皆さんに不定期ですが連載で紹介したいと考えています。腰椎変性疾患は様々な原因が重なり合ういわば大きな森のような存在です。従って、森をなす木の一本一本の姿を知ることこそが森の全体すなわち真理を知ることに繋がるはずです。第1回の予定は、腰椎変性疾患の中でも若い人に多い「椎間板ヘルニアの真理」についてです。

腰椎変性疾患による神経障害性疼痛は手術タイミングの遅れが主因である

.05 2017 脊椎疾患 comment(2) trackback(0)

久しぶりにブログ記事を更新します。

新しい年になって、早1ヵ月が過ぎました。

この間、外来、手術と多くの脊椎疾患の患者さんとの出会いがありました。

患者さんの目立った傾向は、後期高齢の患者さんが増えていることです。

さらに、再発手術を求めて受診される患者さんも確実に増えています。

多くの方は、私の拙書「腰椎手術はこわくない」をご覧になっての受診です。

この本を世に出したのは、患者さん自身が腰椎変性疾患に関する正しい知識を

もって適切に判断することを手助けしたいとの思いからです。徐々にその効果が出てきたように感じています。嬉しいことです。

 

さて今回は、私が重要と考える「手術のタイミングの大切さ」について書きました。なぜなら、手術のタイミングは患者さんの予後の重要な決定因子だからです。もちろん、診断と手術が適切であるとの前提での話ですが。「手術のタイミングの大切さ」については、このブログで何度も強調してきましたし、私の本でも詳しく記述しました。

 

手術のタイミングがなぜ遅れるのか。その主因は「医師が手術を勧めない」ことにあります。勧めないどころか「手術は止めた方が良い」と制する医師さえ少なくありません。もちろん、それぞれに理由があってのことですが。しかし、これでは患者さんは効果がないと感じていても、医師が勧めるのだから、そのうちに良くなるのかもと、保存治療から抜け出だせません。これとは逆もあります。医師が手術を勧めても、患者さんが手術に踏み切れない場合です。これは腰椎手術に対する世の中の信用度が低いことに多くは起因します。手術を受けても良くならない、却って悪くなったという患者さんがまだまだ多い状況をみるなら、これも無理のないことかも知れません。

 

こういった状況の中で、手術のタイミングは遅れていきます。その結果起こることは神経障害です。神経障害性疼痛という痛みがあります。これは神経が強く障害されたために起こる激痛であり、患者さんの残る人生は辛いものになります。


これを防ぐ方法はないものか。我々が現在手にする唯一の方法は、神経障害が進む前に、その原因である椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、すべり症などを手術によって根本的に直すことです。こうすれば神経障害による悲惨な痛みで苦しみ続ける患者さんの発生を防止できるはずです。

 

私が手術してきた患者さんの術後の明暗は、まさにこの神経障害の有無、その程度に関係していました。神経障害が進んでしまってからでは、いくら納得できる手術を行えたとしても、患者さんには神経障害による後遺症が残るのです。この経験から、医師には「手術のタイミングを適切に判断する重要な責任がある」と私は考えるようになりました。

 

治療という名目のもと、長く保存治療を行い、「回復し得ない神経障害」へと進めてしまうことは医師として何としても避けなければなりません。患者さんの良くなる機会を失わせてしまうことになるからです。


いずれそう遠くない時期に、腰椎変性疾患による神経障害性疼痛は医師に回避義務があるとの認識が示されることになろうと私は考えています。医師が適切に手術のタイミングを判断し、医師と患者との間に信頼関係が築かれていくなら、神経障害性疼痛の発生は確実に減っていくでしょう。それを期待します。

腰椎変性疾患は再発があることを前提に、常に次の一手を打てる背椎外科医が求められている。

.05 2016 脊椎疾患 comment(14) trackback(0)
 腰椎変性疾患は椎間板ヘルニアであれ、脊柱管狭窄症であれ、変形性腰椎症であれ、再発があることを前提にして治療を考える必要があります。これは保存治療でも、手術治療でも同様です。
このことは、腰椎変性疾患は腰椎が加齢変化を進める中で発生する病気であると考えるなら当然でありましょう。

 様々な腰椎変性疾患は一度の手術で生涯に渡って、安泰となることはありません。その理由は上記した通りです。幸いにして再発なく術後の快適な生活を謳歌している方でも、腰椎の変性は進んでいきますので、自分は大丈夫と高を括ることは禁物です。再発を防止するための一定の注意は必要です。しかし、加齢変化が原因といっても、加齢が腰椎に与える影響は個々に異なりますので、なかなか一概には言えず、効果的な予防法が立てられないのが悩みです。

 今まで、腰椎変性疾患の手術は二度目はないというのが常識でした。そのため、再発すると効果のない保存治療をやむなく続けるか、あるいは、このような場合の最後の切り札となってきた腰椎固定術にすがるしかありませんでした。しかし、腰椎固定術はそれ自体が患者にとって辛く耐えがたい腰痛などの問題を残すことが希ではありません。そのため、再発したなら患者にとって希望のもてる治療の選択肢はなかったと言っても過言ではありません。

 このような状況を変えるべく、私は腰椎変性疾患の再発手術に取り組んで来ました。その中で腰椎固定術に頼らない、最小侵襲のMD法(小切開、チュブラーレトレクターと手術顕微鏡を用いた手術)による神経の再除圧術を確立してきました。このような再除圧術は、再発を繰り返す高齢者の腰椎変性疾患で極めて有効です。勿論、若い方でも同様です。

 強調したいのは、腰椎変性疾患は再発があることを前提にして、常に次の一手を打てる背椎外科医が求められており、そのような背椎外科医の育成が喫緊の課題になっていることです。

腰椎椎間板ヘルニア手術の目的は神経根の除圧にある

.29 2016 脊椎疾患 comment(4) trackback(0)
腰椎椎間板ヘルニア手術の目的は、圧迫を受けた神経根の除圧にあります。
ヘルニアの摘出はヘルニアと骨との間で圧迫を受けた神経根を除圧するために行います。つまり、ヘルニアの摘出は神経根除圧のための手段であって、ヘルニア摘出自体が目的ではありません。従って、ヘルニアの摘出によって神経根が適切に除圧されれば、症状は改善されますが、神経根の除圧が不完全に終わると症状の改善は得られません。
術後に執刀医から摘出した椎間板を沢山見せられても,症状の改善が悪ければ、神経根の除圧は不良に終わったと考えるべきです。
ヘルニア手術後に症状が改善しない具体的な場合を次にあげます。(1)ヘルニアの取り残しがあって神経根の除圧が不十分の場合と(2)ヘルニアに狭窄症を伴っていて、ヘルニア摘出のみでは神経根の除圧が不十分な場合です。このような場合には、諦めずに再手術で神経根の適切な除圧を得ることです。

ヘルニア手術では、神経根除圧の適否が結果に対して重要な意味を持つのであって、手術方法が結果を決めるわけではありません。顕微鏡ラブ法でも、内視鏡を用いたMEDやPELDでも、私のMD法でも、重要な点は神経根の除圧が適切に行われたかです。勿論、手術侵襲が少ないことに超したことはありません。しかし低侵襲手術では、より高度の技術と豊富な経験が必要です。技術が未熟で経験の浅い背椎外科医では、患者を満足させる結果をだせないことや、却って症状を悪くすることが起こり得ることを知って外科医選びを慎重に行うことです。
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